植物編
「春に生えてくる草を見れば、何をすればいいかわかるよ」
自然栽培農家さんからこの視座を学び私の人生は大きく変わりました。
彼が語った自然農法から見る地球の仕組みは、経済やマーケティングの面白さを凌駕していました。
まるで錬金術のようにも感じましたし、何より心が原始的に揺さぶられました。
彼の教えに従い、毎年4月は自分の農園に生えてくる植物をじっと観察します。
今年はスイバとシロツメグサが多い。
これらの植物は酸性の土壌を好みます。
農園全体が酸性に傾いていることを教えてくれています。
去年の降雨量がここ10年で最多だった事を振り返り、酸性雨や地球の状態について考えます。
オオイヌノフグリとホトケノザのエリアも点在しています。
ここは中性のエリア。
であればそのPHを好むパセリやガーベラの種を蒔けば良いパフォーマンスが上げられます。
土壌改良?
なんて傲慢な言葉だ。
わざわざ外部から加工資材を持ち込んで個性を殺してしまうのか?
土地にあったものを育てれば良いんだ。
高価な計測器を土に挿して歩く必要もない。
現象を見て土壌を理解し、寄り添い活かす人になれ。
酸性なら酸っぱいんですかね?と言って2人で畑の土を食べて笑いました。
今は亡き師匠。
この人がいなかったらオーシャンレモンはありませんでした。
いつも心の中で感謝しています。
昆虫編
立春の前、毎年3月は啓蟄(けいちつ)です。冬に籠っていた虫が這い出る春の季語です。
私たちの農法では、出来るだけ多くの生き物を集める事が肝心となります。
その仕組みを簡単に言うと、多様な生き物で食物連鎖を起こし、動植物の命の営みを利用してレモンの病気を防ぎ、最終的には農園の養分として命を繋げていっていただく。です。

彼らはオーシャンレモンの重要な共同製作者です。
なのでこの時期は孵化したばかりの小さな生き物を守ることが大切な仕事です。
スガワラは虫が怖いのです。
怖くて写真も撮れないのです。
たまに服に付いて悲鳴をあげています。
てんとう虫も怖かったのです。
何でこんな農法編み出したのかと思ってます。
写真はスタッフさんのものをお借りしました。
苦手な人はごめんなさい。
この時期は出来るだけ農園内を歩き回りません。
決められた道だけを、最小限の回数だけ人が入り仕事をします。
環境編
オーシャンレモンは約1500坪の農地で100本のレモンを育てています。
単純計算で15坪(30畳)に1本。
贅沢というかちょっと普通ではあり得ない数字です。
これにはカラクリがあります。
私たちはレモン農園をぐるっと取り囲むように周囲の農地も借りています。
そこはあえて森の状態で管理して、近隣とのバッファゾーンと生き物の住処の役割を担ってもらっています。
これはロシアンハニーのガブリエルのやり方を学びました。

だから実際にレモン農園となっているのは農地の50%くらい。
そうやってフルオーガニックを行っています。
鳥の声もかまびすしいです。
最初の草刈りのタイミングが次のレモンに大きく影響するので緊張してます。

緑がだいぶ濃くなってきましたがまだ我慢です。
後々の作業が楽になるので早めに草刈りしたいのですが、小さな虫が自由に移動できるようになるまで待ちます。
繁殖性の高い植物が胞子を飛ばして広めてしまうタイミングと、虫たちの成長のタイミング。
しっかり見極めないと。
さまざまな自然からのサインがあります。
人間は偉そうにしてるけど、一人ではレモンひとつも作れないと感じる春の農園です。
