オーガニック系の食品店に行くと、除草剤不使用と書かれた野菜が目につくようにもなってきました。
日本以外の世界中で除草剤の危険性が周知され、輸入禁止や使用禁止になっています。
そんな事実を知る方、健康意識の高い方、化学物質過敏症の方に需要があるのだと思います。
私たちがまだマルシェに出ていた5年前頃は、農薬使用について聞かれる方は多かったですが、除草剤使用について聞かれたことは記憶にありません。
「除草剤」が土壌や河川や人体に危機を及ぼす可能性を多くの方が知るようになったということだと思います。
でも。
「使わないで」と言うのであれば、真夏を含めた6ヶ月の間、這いつくばって除草する作業を知ってもらいたいなーと思います。
アシナガバチ、スズメバチ、アブ、マムシなどの恐怖が目の前にあります。
人間が死ぬウィルスを持つマダニもいます。
その中に入っていくため絶対に肌は出せません。
薄手でもダメです。
草刈り機も危険です。
高速で回転する刃が足元にあり、生い茂った草で足元が見えづらく滑落するとどうなるかわかりません。
実際、夏の草刈りでたくさんの農家さんが亡くなります。
地域によっては夏季のシルバー人材センター草刈り派遣は禁止になっています。
厚着、重装備、高速の刃、エンジンの熱、35度を超えるフィールド、危険な生物。
もし会社にお勤めの方が「電車やクルマは環境に負荷をかけるから通勤は徒歩か自転車にしてください、健康にも良いですよ」と言われても、なかなか行動に移せませんよね。
それもスーツとネクタイ、革靴で。
どれだけのトレードオフがそこに有るのかを理解しないと、正論だけでは現実は動かないものです。
だからこそ、除草剤不使用の農家さんをマルシェなどで見つけたら、一声でいいので声をかけてほしいのです。
「安全な野菜を作ってくれてありがとう」
「環境のことを考えてくれてありがとう」
「たくさんの生き物を守ってくれてありがとう」
そして出来れば、少しでも買い支えてあげてほしい。
毎夏、高齢の農家さんが腰を曲げてラウンドアップを撒く姿を複雑な気持ちで遠くから見ています。
除草剤が撒かれると真っ赤に燃えるような異世界が作り出されます。
「除草剤不使用」の言葉の奥を少しでも想像していただけたら、這いつくばっている全国の当該農家は報われると思うのです。
私たちが這いつくばって守っている土壌は、きっと皆さんの足元にもつながっていると思うから。
