私たちは小田原の海の見える農園でフルオーガニックレモンを栽培しています。
農園に一切のケミカルを持ち込まず、たくさんの生き物が暮らしやすい環境を整えて、命の循環で農園をまるごと発酵させてレモンを作っています。
激減したレモン収穫量
今年1月末の大寒波によって甚大な被害を受けました。

私たちは12月から収穫を始め、翌5月までをレモンシーズンとしています。
シーズン初めの被害だったため、今季(2023年)の収穫量は前年比で20%となりました。
レモンの木自体も5%が枯死し、残りもどうなるかわからない状況でした。
リセットされた農園
5月に大きな決断をし、初めて強い剪定を農園全体で行いました。
生き延びたレモンの木を信じ、地力を残った木に回すための決断でしたが、多くの太い枝が落とされた風景は違う農園のようでした。



フルオーガニック農法は農園内で食物連鎖を活発化させ、多くの生命の循環によって地力を上げていく農法です。
つまり多くの生き物を集めるのが重要です。
今回の大寒波、強剪定によって農園には大きな撹乱(かくらん)が起きました。
今まで積み重ねてきた生態系が破壊され、新たなルールが作られようとしています。
そう、まるでリセットされたかのように。です。
生き物の数を取り戻すために
6月中旬の時点で農園内の生き物の数が明らかに少ないことに気づきました。
「今年も同じで良いのか?」
この時はあえて例年通りに作業をして、比較観察に時間を取りました。

生き物の数は少し戻ってきた印象です。
さらに雨量増加によって土が流れ居場所を失いかねません。
これらの状況を鑑みて、真夏は草をいつもの倍の40cm残すことに決めました。
※8月15日から9月15日までの小田原の降雨量は実際激しいものになりました
と言うより嘘みたいに大量に生息しています。
それでもやった甲斐があったと安心した瞬間でした。

現時点での予測
レモンの話ではなく、生き物の話ばかりと思われたかもしれません。この農法では春から夏はずっと地面を観察して、木の上は見ません。
そこで病気が進行していようと、どちらにしろ薬は使わないのです。
自然治癒出来ないのであれば、枯れるままにします。
病気のもとである細菌、もしくは農薬が必要な虫害は、レモンの木が弱いからなると私たちは考えています。
レモンの木を強くするためにどうすれば良いのか?
それを考えた結論が、出来るだけ多くの生物と暮らすことでした。
なので地面の生き物ばかりを見ているのです。
さて、話が長くなってしまったのでそろそろ上を向きます。
現在、レモンの実は予想以上についています。
前年と同じくらいまでリカバリーできるかもしれません。
ただしこればっかりはあと数ヶ月経たないとわかりません。
5月の剪定は数年後の未来を作るためのものでした。
そのためにただでさえ少なかった花も落としました。
なので「予想以上」と表現しましたが、それでも例年の20%程です。
来季も貴重なレモンとなってしまいそうです。
必要とされる方には本当に申し訳なく思います。
何とかこの状況を乗り越えようとスタッフもレモンを信じて頑張っています。
どうかどうか、私たちを見守っていただきたいと願います。
出来ることに全力を尽くしていきます。
